ポスドクってどんな人たち?
ポスドク(Postdoctoral ResearcherあるいはPostdoc)とは、大学院博士後期課程(ドクターコース)の修了後に就く、 任期付きの研究職ポジションのことをさします。ポスドク研究員、博士研究員とも呼ばれます。 2018年度の文部科学省などの調査によると、ポスドクは全国に約1.6万人存在すると言われていますが、現在、大学院博士後期課程を修了しても、 そのまま大学教員(助教や講師)や研究所の研究員となることは難しく、その多くは大学や研究機関などで、数年間の研究プロジェクトに採用されることも ありますが、日本では、1990年代から始まった「大学院重点化政策」を起点に、博士課程を修了した人材が増加したもののパーマネント職は増えず、 大学院修了後のキャリア形成に問題が生じてい流のが現状です。
助教・特任助教との違いとは?
助教とは?
助教とは、大学などの教育機関における教員の一職種であり、文部科学省によれば「将来、准教授、教授へつながるキャリアパスの一段階に位置 付けられるものであり、助教に就く者としては、例えば、大学院博士課程修了後、ポストドクター(PD)等を経た者」とされています。
特任助教とは?
特任助教とは、任期の定めのある助教のことを一般にさします。助教という立場から、教育機関における教員の一員とされますが、 任期の定めがあるという点では、ポスドクと似た状況にあると考えることができます。
ポスドクは日本に1万5,590人
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査(ポストドクター等の雇用・進路に関する調査)によると、2018年度にポスドクとして国内の大学や 研究機関で研究活動に従事していたのは延べ1万5,590人。 調査上で最も多かった2008年度と比べると2,000人程度減っていることがわかります。 ※調査方法の変更により、2008 年度以前と 2009 年度以降を厳密に比較することはできない。
性別と年齢。平均年齢は上昇。
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
2018年度のポスドクの平均年齢は37.5歳(男性37.2歳、女性38.1歳)。 2015年度の調査と比べ男女ともに平均年齢は上昇しています。 正規の仕事に就けずにポスドクのまま年齢を重ねていく「高齢ポスドク」の存在が、データからも明らかになっています。
国籍・地域別
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
日本籍の者は、10,851 人(69.6%)、外国籍の者は、4,693 人(30.1%)、不明 46 人(0.3%)。 外国籍の者が 4,693 人(30.1%)、前回の調査に比べ、258 人の増(2.2 ポイント増加)であり、国籍・地域別では、中華人民共和国・インド・大韓 民国などアジア系の国・地域の出身者が多く、3,222 人である事がわかっています。
分野別では「理学」が最多。
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
ポストドクター等の分野は、理学が最も多く、5,737 人(36.8%)。 次いで工学3,315 人(21.3%)、保健 2,648 人(17.0%)、 農学 1,286 人(8.2%)、人文 1,078 人(6.9%)、社会756 人(4.8%)という結果に。
民間企業との受託・共同研究の実施状況
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
民間企業との共同・受託研究契約を有している研究室に所属するポストドクター等は、6,375 人(40.9%)、 契約を有していない研究室に所属するポストドクター等は、7,170 人(46.0%)。
任期の長さはどのくらい?
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 ライブラリ ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)
2018 年度における大学・公的研究機関に雇用されているポストドクター等の任期の長さについて、 「3 年未満」の者は、10,533 人(67.6%)であることがわかっています。
ポスドクの平均年収は?
ポスドクと呼ばれる研究者の給料は一般的に低い例が目立ちます。 科学技術政策研究所が2008年に行った調査によれば、ポスドクの平均月収は306,000円です。
ここから単純に12倍すると367万円と計算され、平均しても年収は300万円〜400万円程度とそれほど高くはなく、高い人でも500万円~600万円程度です。
分野別に見ると、最も高いのは工学系で396万円、低いのは人社系で255万円です。
※人社系で低くなっているのは、無給のケース(無給研究員)が含まれているためと言われています。 また、年齢別では30歳未満が336万円、30~34歳で365万円、35~39歳で395万円、40~44歳で390万円という現状となっており、 一般企業に勤める会社員の方が給料をもらっていると考えていいかもしれません。